売上予測は、今ある材料から作る「仮説」
同じ架空の一人サロンで、創業当初の売上を月32万円として考えてみます。
32万円という金額より、その32万円をどう作る予定なのかが説明できることが大切です。
まずは、「単価 × 件数」まで分ける
架空サロンは、平均単価8,000円、1日2人、月20日営業という想定です。
ここまで分けたら、次に見るのは「1日2人は本当にできそう?」「20日営業できる?」「40人はどこから来る?」です。
自分の業種で読み替える
- サロン型:平均単価 × 1日の人数 × 営業日で売上を分けます。
- 仕入れなしのサービス型:1件・1契約の単価 × 月の件数・契約数で分けます。
- 仕入れあり型:商品単価 × 販売数、または客数 × 1人あたりの購入額で分けます。
分解した後は、「その件数はどこから来るのか」「自分で提供できる量か」も確認します。
業種が違えば、売上の分け方も変わる
日本政策金融公庫(この記事では「公庫」と書きます)の2026年版「創業の手引」でも、業種ごとに売上の作り方を分けて考える例が示されています。
客単価 × 席・台数 × 回転 × 営業日
何席あるか、1日に何人対応できるかまで入れる。
1日の来店客数 × 客単価 × 営業日
1日に何人来る想定なのかを書く。
サイトを見る人 × 買う人の割合 × 客単価
アクセスがあっても、全員が買うわけではない。
1件の単価 × 1日の件数 × 台数 × 営業日
設備や人が1日にこなせる量から考える。
契約単価 × 契約件数
月額契約なら、何件の契約を維持するのかを見る。
大事なのは、自分の商売では、売上が何の掛け算でできるのかを見つけることです。
一番難しいのは、「月に何件売れる?」の根拠
単価は料金表を見れば分かります。でも、これから始める事業で「月40人来ます」と言う根拠は、最初から完璧にはありません。
そこで、件数を一つの勘で決めず、使える材料を集めます。
今ある見込み客
すでに相談・予約・契約見込みがある人はいるか。
過去の実績
同じ仕事を会社員・業務委託などで経験しているなら、過去の件数や売上を使える。
自分の処理能力
1日何件対応できるか、席数や営業時間に無理がないか。
立地・市場・競合
近隣の人通り、商圏、相場、同業店などから大きく外れていないか。
集客の方法
紹介、SNS、広告、既存顧客など、どこから何件来る想定なのか。
無理にもっともらしい数字を作らなくて大丈夫です。まず、営業時間・席数・自分が1日に対応できる件数などから「物理的にここまでは対応できる」という上限を出します。
そのうえで、同業の価格や営業状況、立地、これから使う集客方法など、今確認できる材料から件数を仮置きします。材料が弱い部分は「要確認」「根拠が弱い」と残して構いません。売上予測は、最初から当てる数字ではなく、どこが仮定で、何を確かめれば精度が上がるかを見えるようにする数字です。
自分の事業計画を作った時、最初は「顧問契約が月に何件増えるか」を見込んでいました。
でも後から「その人たちは、どこから来るの?」まで分けてみると、講習会だけを入口にして考えると説明しにくい部分があることに気づきました。
そこで、講習会だけでなく、すでにある接点、紹介、個別相談など、お客さまが来る入口ごとに分けて計画を組み直しました。
全部そろっていなくても大丈夫です。むしろ、「40人のうち24人くらいは入口を説明できるけれど、残り16人の根拠が弱い」と分かる方が、計画を直せます。
売れそうでも、「自分がこなせる数」を超えていないか
売上予測では、需要だけでなく、自分の側の限界も見ます。
この架空サロンでは、創業当初は1日2人×20日=40人、軌道後は1日3人×22日=66人へ増える想定です。
売れるかだけでなく、売れた時に本当に提供できるかも売上の根拠です。
「1年後は30%アップ」なら、30%増える理由を書く
創業当初より、1年後の売上を高く見込むこと自体はおかしくありません。
ただ、「軌道に乗るから増える」だけでは、数字の根拠がありません。
- リピーターが増える
- 営業時間を増やす
- スタッフを1人増やす
- 単価の高い商品を追加する
増える理由が見えれば、「30%」という数字そのものも見直せます。
公庫の飲食店の記入例でも、1年後の売上を増やす前提として、勤務経験などを根拠として示しています。
売上だけ増えて、経費が増えない計画になっていない?
売上の数字が作れたら、次は経費も確認します。
売上が増えると、仕入れ・材料費・決済手数料・外注費・人件費なども増える事業があります。
「売上は右肩上がり、経費は据え置き」になっていたら、どの経費が売上と一緒に増えるのか確認します。
この確認は、売上が増えたのに、お金が残らない計画を自分で防ぐためにも使えます。
実際の融資支援でも、「売上○万円」では終わらせない
ここは私が融資支援で実際に確認しているところです。
飲食店の面談練習では、売上を席数・客単価・1日の回転・営業日まで分けて、「なぜその月商になるのか」を一緒に確認しました。
自分の事業計画でも同じです。顧問契約なら「月額単価×契約件数」、講習会なら「参加者数×料金」のように、売上の元を分けます。
件数が多すぎる、単価が相場と合わない、営業時間ではこなせない。分解すると、結果だけを眺めていた時には見えなかった問題が出てきます。
自分の売上予測は、この4つで確認する
まず見る4つ
- 1件・1人・1契約あたり、いくらなのか
- 月に何件・何人・何契約を想定しているのか
- その件数を作れる根拠があるか
- その件数を実際に提供できるか
この4つが出れば、「月32万円です」から、「8,000円×2人×20日で32万円。40人はこの入口と営業日で見込んでいる」まで説明できるようになります。
まず5分だけやるなら
主力の商品を、単価×件数に分ける
主力の商品・サービスを1つだけ選び、①1件いくら、②月に何件を想定するかを書きます。
件数が分からなければ「要確認」で大丈夫です。売上を一つの数字のままにしないことが、この回の最初の一歩です。
まとめ|売上予測は、「なぜその数字?」に答えられる形にする
未来を当てる必要はない
売上を作る要素に分けて、今ある情報から現実的な仮説を作ります。
見る順番はこの4つです。
単価
1件・1人・1契約いくらか。
件数
月に何件売る想定か。
根拠
なぜその件数が作れそうか。
実現性
実際に提供できる量か。
売上予測が外れることはあります。大事なのは、外れた時にも「単価が違ったのか、件数が足りなかったのか」を分けて直せる形にしておくことです。
この記事で確認した公式情報
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売上予測の式や参考値は業種・立地・商圏・事業規模によって変わります。この記事では公庫の現行資料と、私自身の事業計画・融資支援経験を分けて扱っています。
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