「でも、一人でやってるから、全部自分でやるしかない」
一人で事業をしていると、これはかなり自然な反応です。営業も、予約も、請求も、経理も、SNSも、お客さんへの対応も自分です。
「仕事を減らしましょう」と言われても、「いや、それ誰がやるの?」となります。
なので、最初から「誰かに任せる」は考えなくて大丈夫です。一人のままでも、仕事の手間を減らせることはあります。
目的が分からない作業や、誰も使っていない記録がないかを見る。
毎日→週数回、一件ずつ→まとめて、に変えられないかを見る。
必要な品質は保ちつつ、毎回100点まで作り込んでいないかを見る。
返信文、請求書、案内文、チェックリストなどを毎回ゼロから作っていないかを見る。
たとえばSNSなら、毎日投稿している回数を減らせないか。毎回ゼロから文章を作っているなら前の投稿を使えないか。画像を毎回作り込んでいるなら、もっと簡単にできないか。
仕事そのものを消せなくても、その仕事にかかる手間は変えられる場合があります。
「でも、やめられない仕事もあるよね」
あります。請求をやめたらお金が入りません。予約確認をやめたらお客さんが困るかもしれません。税金や申告など、必要な手続きもあります。
「これは必要」と分かった仕事は、なくそうとしなくて大丈夫です。その場合は残りの3つを見ます。
請求書:前月の請求書を複製して、必要なところだけ変えられない?
お客さんへの返信:よく使う案内文を残して、毎回ゼロから書かなくて済まない?
予約確認:一日に何度も確認せず、確認する時間を決めてまとめられない?
「やめられない仕事=何も変えられない仕事」ではありません。
会社やチームの中で、自分だけでは変えられない仕事は?
会社やチームでは、自分だけの判断でやめられない仕事もあります。その場合は勝手に削らず、まず「何に、どれくらい時間がかかっているか」を見えるようにします。
たとえば「この資料に毎週2時間かかっている」と分かれば、「なくしてください」ではなく「ここをもう少し簡単にできませんか?」と相談する材料になります。
「でも、人もいないし、お金もないから任せられない」
採用する余裕はない。外注するお金もまだない。だから自分でやるしかない。そういう状態も普通にあります。
なら、今は任せなくて大丈夫です。まず一人のままでも、同じ文章を何度も作らない、同じ判断を毎回やり直さない、一度作ったものを次も使えるようにする、といった減らし方があります。
人を増やす前に、「自分が同じ仕事を何度もやらなくて済む形」を探せます。
実際に、仕事の持ち方をこう変えました
私自身、最初からうまく仕事を減らせていたわけではありません。
監査法人で働いていた頃、仕事を抱えすぎた時期がありました。何とかしようと思って、タスクを一度きれいに整理しました。
ところが、整理するだけで一日かかりました。
当然、その日にやるはずだった仕事は終わっていません。結局、期限の仕事を深夜までやることになりました。
今考えると、仕事を終わらせるためのタスク管理が、いつの間にか「タスクを整理する仕事」になっていました。
そこで、管理方法をきれいにするだけではなく、仕事の持ち方そのものを変えていきました。
一年の予定を先に見て、「いつ何が来るか」を把握する
まず、一年のスケジュールを確認しました。決算や監査など、毎年だいたい同じ時期に発生する仕事があります。
全部を正確に予測するのではなく、「この辺でこの仕事が来る」という山を先に把握しておくようにしました。
予定を100%埋めず、30%くらい空けておく
自分の担当会社以外の仕事も相当入ってくると考え、最初から予定を埋め切らず、30%くらい余裕を残すようにしました。
突然仕事が入っても、以前よりは対応しやすくなりました。
自分の業務を書き出し、切り分けられる形にする
自分がやっている業務を書き出し、マニュアル化して見えるようにしました。
テンプレートを使って作る書類など、自分が入力する必要のない作業は、AI・外注先・スタッフへ渡せる形にします。
属人性が強い仕事も、判断の流れを言葉にしてAIで構造整理し、テンプレートに落としてから切り分けるようにしました。
人が直接やる仕事を、人にしかできないところへ寄せる
自分が直接作業する時間は、クライアントとの面談、スタッフの教育、高難易度の会計論点など、人が考えたり対話したりする必要がある仕事へ寄せるようにしました。
ただ、30%空けても、結局は埋まりました
30%空けたのは、あくまで自分の予定の組み方です。周りが「この人は30%空けているから仕事を入れないでおこう」と考えるわけではありません。
関与していた会社は流動性が高く、急な仕事が入りやすい状態でした。そこに法人内の仕事も入ってきます。結局、空けていた30%もかなり埋まりました。
それでも、最初から100%で予定を組まなかったから、何とか対応できたというのが実感です。
マニュアル化も、一度作れば終わりではありませんでした
業務を切り分けるためには、「自分はどこを見て、何を考えて、この判断をしているのか」を言葉にする必要があります。
さらに、仕事を渡す相手が自分と同じ考え方をするとは限りません。いろいろな人の頭の中を想像しながら作るので、元からして無理がある部分もありました。
本当は、もっとコミュニケーションを取って、実際に使う人から意見をもらいながら直した方がよかったと思います。負担をかけたくなくて遠慮したことで、こちらだけで考えすぎた面もありました。
自分ではどうにもならない仕事もありました
決算繁忙期の期末監査は、その典型でした。
私はもともとマルチタスクが得意ではないので、一つずつ処理します。でも、一つをやっている間にも別の仕事が入り、仕事は溜まり、増えていきます。
一方で、36協定の残業時間は守らなければいけません。周りも同じように忙しいので、「助けて」と言えば全部解決する状況でもありませんでした。
ただし、仕事が止まりそうなら早めに上長へ報告する。自分で管理できるのは、そこまでだと切り分けました。
業務改善をすれば、全部きれいに解決するわけではありません。仕組みを作るまでがつらいこともありますし、作ってもうまくいかないことがあります。
それでも、「自分で変えられる手間」と「自分では変えられない問題」を分けるだけで、少なくとも全部を自分の工夫不足として抱え込まずに済むようになりました。
まずは4つの見方で確認する
難しい業務改善の方法を覚える前に、今の仕事を同じ4つで見ます。
見るのは、この4つだけ
- なくせない?
- 回数を減らせない?
- もっと簡単にできない?
- 前に作ったものを使えない?
全部「無理」でも構いません。その場合は、自分が何に時間を取られているのかが分かります。それも大事な現在地です。
それでも残った仕事は、どうする?
ここまで見ても、必要だし、回数も減らせない。簡単にもできない。前のものも使えない。という仕事は残ります。
そこで初めて、「どうやって楽にする?」を考えます。
文章を作る、情報を整理する、考えていることを言葉にする、といった作業なら、生成AIが使える場合があります。
「残った仕事をAIで少し楽にできる?」と思ったら、「ChatGPT、仕事の何に使えばいい?」へ進めます。
ただし、AIも使えば必ず効率化する道具ではありません。いらない仕事まで速くする必要はないので、まずはこの4つで仕事そのものを見る順番を先にします。
まず5分だけ
今日やった仕事を5個だけ書き、その横を4つの見方で埋めます。分からないところは「?」で大丈夫です。
今日やった仕事を5個だけ見る
| 今日やった仕事 | なくせる? | 回数を減らせる? | 簡単にできる? | 前のものを使える? |
|---|---|---|---|---|
| 例:お客さんへ返信 | ? | ? | ○ | ○ |
| 1. | ||||
| 2. | ||||
| 3. | ||||
| 4. | ||||
| 5. |
一つでも「これ、毎回同じことしてるな」が見つかったら、そこから始められます。
まとめ|忙しい時は「速くする」前に手間を見る
仕事を丸ごとやめたり、人に渡したりできなくても、まず4つの見方で手間を確認できます。
なくせない?
目的が分からない作業が残っていないかを見る。
回数を減らせない?
毎日・一件ずつを、回数やまとめ方から見直す。
簡単にできない?
必要な品質は残し、作り込みすぎていないかを見る。
前のものを使えない?
返信・請求・案内・チェックを毎回ゼロから作らない。
全部「無理」でも、何に時間を取られているかが見えます。まずは現在地が見えれば十分です。
ここから先は、必要な方だけ
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