最初に迷うのは、全部が必要そうに見えるから
起業準備を調べると、やることリストが大量に出てきます。
でも、必要になるタイミングはそれぞれ違います。たとえば、店舗を持つ人と自宅で仕事をする人では必要な準備が違います。許可が必要な仕事もあれば、そうでない仕事もあります。最初から大きな設備が必要な商売もあれば、パソコン一台で始められる商売もあります。
だから最初は、自分の商売では何が必要なのかを判断できる土台を作ります。
図解|起業準備の最初の3つ
手続きの前に、まず「商売・生活・お金」を見る
商売
誰に、何を、いくらで売るのか。まだ仮でもよいので、今の形を書く。
生活
売上がすぐ安定しなくても、生活を続けられるか。会社員の時とは違う支出も見る。
お金
始める時に必要なお金と、売上が安定するまで事業を続けるお金を分けて考える。
私自身、独立直後は「まずやること」が多すぎて整理できませんでした
私も監査法人を退職して、自分で事業を始めました。
会計や数字のことは仕事で扱ってきましたが、独立すると、それ以外のことが一気に出てきます。
商品を作る。誰に届けるか決める。HPを作る。申込や決済を作る。会計を整える。集客する。情報を管理する。
「まずこれをやればいい」という項目が多すぎて、正直、自分でも整理がつきませんでした。
そこで、AIと話しながら、今やることの優先順位を付けてもらい、その順番で一つずつ進めていました。
ただ、一つは順番を失敗したと思っています
私は自分でHPやナレッジを作っていたので、そちらをかなり先に進めました。
その結果、商品そのものが出来上がるのが遅れました。
やることが多すぎる
独立後に必要そうなことを並べると、全部が大事に見えました。自分だけでは順番を決め切れず、AIで整理しました。
HP・ナレッジの基盤を先に作った
情報を蓄積し、あとから管理できる状態を作ることを優先しました。申込や各種の仕組みも、自分で作っていきました。
商品完成が後ろへずれた
振り返ると、もっと早い段階で商品を作り終え、誰に届けるのかを詰める方を先にしてもよかったと思っています。
でも、全部が無駄だったわけではない
HPやナレッジを先に作ったことで、情報を蓄積する体制と管理基盤はかなり整いました。失敗した順番ではあるけれど、後から考えると投資でもありました。
退職自体は、私の場合は比較的急に決めました。今やり直せるなら、「独立したい」と思った時点で、商品とターゲットをもう少し先に詰めておくと思います。
当時もAIと壁打ちはしていましたが、今振り返ると、詰めているつもりで十分に詰め切れていないところがありました。今の環境から始めるなら、独立前からAIも使いながら、誰に何を売るのかを早めに仮置きしておきます。
1|まず「誰に・何を・いくらで」を仮置きする
最初から完璧な事業計画を作る必要はありません。
ここでいう「仮置き」は、紙でもスマホのメモでもいいので、今の答えを3行だけ書くことです。 後で変えて構いません。頭の中だけで決め切る必要もありません。
でも、「誰に売るのか」「何を売るのか」「いくらで売るのか」が全部空白のままだと、その後の準備も決められません。
誰に:どんな人・会社の、どんな困りごとに届けるのか。
何を:商品・サービスとして、何を渡すのか。
いくらで:1回・1件・1か月など、どの単位でいくら受け取るのか。
最初は仮説で大丈夫です。
架空例|同じ一人サロンで考える
これは架空の例です。サロン勤務を6年経験した人が、一人で完全予約制のサロンを始めるとします。
誰に:近隣の20〜40代で、待ち時間や担当者の変更が苦手な人
何を:同じ施術者が相談から施術まで担当する予約制サロン
いくらで:主力サービスの平均は1人8,000円程度
この3行が書けると、次に「月に何人必要?」「開業にいくら必要?」「どこから予約してもらう?」へ進めます。
自分の業種で読み替える
- サロン型:誰に来てほしいか、何を提供するか、1回いくらかへ置き換えます。
- 仕入れなしのサービス型:誰に依頼してほしいか、何を提供するか、1件・1時間・1か月など、どの単位でいくらかへ置き換えます。
- 仕入れあり型:誰に買ってほしいか、何を売るか、1個・1セットなど、どの単位でいくらかへ置き換えます。
仮でも決めてみると、「その人にどうやって知ってもらう?」「月に何件売れればいい?」「この値段で続けられる?」という、次に調べるべき疑問が出てきます。
「誰にどうやって知ってもらうのか」で止まったら、次に見るのは「集客って、結局何から始めればいい?」です。起業準備の中に、集客も含まれます。
2|売上が安定するまで、生活が持つかを見る
起業すると、売上が入る前から生活は続きます。
家賃や住宅ローン、食費、水道光熱費など、生活側で出ていくお金があります。会社を辞める場合は、健康保険や年金、税金など、会社員の時には給与から処理されていたものを自分で確認する場面も増えます。
必要な貯金額は、人によって変わります。
自分の場合、売上が安定するまで何か月かかりそうで、その間いくらあれば生活を続けられるか。そこを見る方が実用的です。
3|始めるためのお金と、続けるためのお金を分ける
起業のお金というと、パソコン、機械、内装、仕入れなど「最初に買うもの」に目が向きやすいです。
でも、始めた後にもお金は出ていきます。家賃、仕入れ、外注費、広告費、システム利用料など、売上が十分に入る前から必要になる支払いもあります。
そのため、起業資金は大きく分けて考えると分かりやすくなります。
始めるためのお金
設備、備品、内装、最初の仕入れなど、開業するために最初に必要になるお金。
続けるためのお金
売上が安定するまで、家賃・仕入れ・外注費など事業を回すために必要なお金。一般に「運転資金」と呼ばれます。
この二つを足してみて、「自分のお金だけで足りるのか」「足りないなら、いくら足りないのか」が見えてきます。
そこで初めて、融資を使うのか、開業規模を小さくするのか、始める時期を変えるのか、といった選択肢を比較できます。
「始めるお金が足りない」「借りるなら何を見られる?」となったら、融資・資金調達の記事へつながります。
手続きは、この3つが見えてから順番に確認する
もちろん、開業届、会社設立、許認可、税務、口座などの手続きが不要という意味ではありません。
ただ、先に「商売・生活・お金」を見ておくと、どの手続きが自分に必要なのかを判断しやすくなります。
商売
誰に、何を、いくらで売るかを仮置きする。
生活
売上が安定するまで、自分と家族の生活が持つかを見る。
お金
始めるお金と続けるお金を出し、足りるか確認する。
必要な手続き
個人か法人か、許認可、税務・社会保険など、自分の条件に必要なものを確認する。
取引の準備
口座、契約、会計、申込方法、HPなど、お客さんと実際に取引できる状態を作る。
前の判断が次の準備を決める形にすると、やることがかなり減ります。
今の自分は、どこまで見えている?
起業準備を始める時点では、全部答えられなくて大丈夫です。
最初に確認する3つ
- 誰に、何を、いくらで売るか、仮でも言える。
- 売上が安定するまで、生活にいくら必要か確認する必要があると分かっている。
- 始めるためのお金と、続けるためのお金を分けて考えられる。
一つでも「まだ分からない」があれば、それが次に確認する場所です。
「誰に/何を/いくらで」を3行で書く
紙でもスマホのメモでも大丈夫です。今の仮の答えを書きます。
まだ決まっていなければ、仮で構いません。たとえばこの架空サロンなら、「近隣の20〜40代に」「予約制の施術を」「平均8,000円で」の3行です。
書けなかった場所が見つかったこと自体が成果です。今日は開業届や会計ソフトまで調べなくて大丈夫です。
まとめ|起業の最初は、手続きより「商売・生活・お金」
起業準備で迷ったら、やることリストを増やす前に、この3つへ戻ります。
商売
誰に、何を、いくらで売るのか。最初は仮説でよいので形にする。
生活
売上が安定するまで、自分と家族の生活が持つかを見る。
お金
始めるお金と続けるお金を分け、足りるか確認する。
その後に手続き
3つが見えたら、自分に必要な届出・許認可・口座・会計・HP等を順番に確認する。
起業は、「必要な手続きを全部終わらせるゲーム」ではありません。自分の商売と生活が続く条件を一つずつ確認し、その条件に必要な準備だけ進めれば大丈夫です。
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