通帳残高は、全部「自由に使っていいお金」とは限らない
前の記事「売上はあるのに、なんでお金が残らない?」と同じ架空サロンで、開業3か月目の月末に事業用口座が23万円だったとします。
23万円あると「しばらく大丈夫そう」に見えます。でも次の30日には、家賃8万円、水道光熱・通信1万5,000円、予約・会計などのシステム1万円、広告1万5,000円、その他の固定費2万円、材料費4万円、融資返済の仮置き1万8,000円、生活用へ移す18万円などが予定されています。
一方で、前月のキャッシュレス売上19万2,000円と、今月売上の入金もあります。
今ある残高は「今日の写真」です。商売を続けられるかを見るには、次の入金日と支払日まで動かして見ます。
見るのは「今ある・これから入る・これから出る」
最初は、この3つだけでいい
今あるお金
今日の通帳残高や手元のお金。スタート地点。
これから入るお金
売上代金など、入金予定がある金額と入る日。
これから出るお金
家賃・仕入れ・外注・返済・税金など、支払う金額と日。
会計ソフトの機能を全部覚えなくても、この3つを並べるだけで「次の支払いまで持つか」はかなり見えやすくなります。
1|これから払うお金を先に出す
まず、「もう使うことがほぼ決まっているお金」を出します。
家賃・人件費・システム利用料など
売上が少ない月でも出ていくものを確認します。
仕入れ・材料・外注など
仕事が増えるほど支払いも増えるものがあります。
借入金の返済
毎月・毎回の返済予定を、通帳から出るお金として見ます。
税金・保険料など
今月まだ払っていなくても、近い将来に支払いがあるものを忘れないようにします。
個人事業主なら、たとえば所得税・住民税・国民健康保険料・国民年金保険料などがあります。全部の金額や時期が今分からなくても、まず名前だけ書いて「?」にして大丈夫です。退職前後に何が残るかは「会社を辞める前に、何をしておく?」でも確認できます。
口座が1つなら、生活で使った出金に印を付けておきます。残高は同じでも、「事業の支払い」と「生活で使ったお金」を分けて見れば、この確認はできます。
「税金や保険料があるらしいけれど、何を・いつ・いくら払うのか分からない」なら、その分からない項目が次に確認する場所です。最初から全部知っている必要はありません。
ここで細かい勘定科目に分ける必要はありません。
まず「いつ・いくら出る予定か」が分かれば十分です。
2|これから入るお金と、入る日を見る
次は入金予定です。
「今月32万円売れる予定」だけでは足りません。
その32万円が、いつ銀行口座へ入るのかを見ます。
売上と実際の入金が別になる理由は「売上はあるのに、なんでお金が残らない?」で詳しく説明しています。ここでは理由を覚えるより、実際に口座へ入る日を書くことだけで十分です。
売上予定に加えて、入金予定日まで書く。ここが大事です。
3|合計より「支払日に足りるか」を見る
同じ架空サロンの「次の30日」を、日付順に並べてみます。
架空例|開業4か月目の資金予定
事業用口座の残高
230,000円家賃
−80,000円水道光熱・通信
−15,000円予約・会計などのシステム
−10,000円材料の支払い(前半)
−20,000円前月のキャッシュレス売上が入る
+192,000円広告・その他固定費・材料(後半)
−55,000円今月の現金等の売上
+128,000円融資返済(架空の仮置き)
−18,000円生活用へ移すお金
−180,000円この例では月末に約17万2,000円残ります。ただし重要なのは最後の残高だけではありません。
家賃や材料の支払いが、キャッシュレスの入金より前に来ます。「全部足せば残る」だけでなく、その日までに足りるかを確認します。
自分の業種で読み替える
- サロン型:キャッシュレス売上の入金日と、家賃・材料・返済などの支払日を日付順に書きます。
- 仕入れなしのサービス型:顧客からの入金日と、ソフト・外注・家賃・税金等の支払日を日付順に書きます。
- 仕入れあり型:売上の入金日と、仕入先への支払い・追加仕入れ・家賃等の日付を並べます。
これが「資金繰り」の入口
ここまでやっていることは難しくありません。
今あるお金、これから入るお金、これから出るお金を、日付と一緒に並べているだけです。
このように、支払日に必要なお金を切らさないよう、入金・支払い・残高の流れを見ることを「資金繰り」と呼びます。
今は十分な残高があっても、大きな支払い・入金の遅れ・売上の波があるなら、先に見ておくことで判断しやすくなります。
表は簡単で構いません。
「この支払日に足りる?」「次の入金まで持つ?」と、自分で確認できることです。
私は「利益があるか」だけでなく「資金が切れないか」を見る
私は会社の数字を見る時、利益が出ているかだけで終わりません。
現金・預金、これから入るお金、借入や支払いなどを見て、「この先、資金が切れずに続けられるか」を確認します。
自分の事業でも、月の売上や利益だけでなく、口座残高と次の大きな支払いを一緒に見るようにしています。
中小企業や個人事業では、利益が出ていても支払日にお金が足りなければ困ります。
だから「儲かっているか」と「支払いを続けられるか」は、分けて確認します。
次の30日だけ書き出してみる
いきなり1年分の資金繰り表を作る必要はありません。
STEP01「売上はあるのに、なんでお金が残らない?」で3行を書いた紙があれば、その下に30日分を足して大丈夫です。
次の30日で「入る・出る」を3件ずつ書く
最初に、今日の通帳残高を書く。
次に、これから入る予定のお金を「日付・金額」で最大3件。
その下に、これから払う予定のお金を「日付・金額」で最大3件。
最後に、支払いの前に残高が足りるかだけ確認します。全部分からなくても、「この支払いが抜けていた」と見つかれば十分です。
予定日は、通帳だけでなく、請求書・カードや決済サービスの入金予定、家賃や返済の予定など、今分かるものを見て書きます。全部そろわなくて大丈夫です。
まとめ|通帳は、残高とその先の予定を一緒に見る
通帳にお金があるかを見る時は、この3つを並べます。
今あるお金
今日の通帳残高。判断のスタート地点。
これから入るお金
売上代金など、金額だけでなく入金日まで見る。
これから出るお金
家賃・仕入れ・返済・税金など、支払日まで見る。
支払日に足りる?
途中の支払日ごとに必要なお金があるかを見る。
通帳残高が多いことは安心材料の一つです。でも、それだけでは商売が大丈夫とは言い切れません。次の入金まで、予定している支払いを続けられるかまで見て初めて、今のお金の余裕が分かります。
ここから先は、必要な方だけ
次の記事以外の選択肢
次の30日を確認して問題なければ、そこで終わって大丈夫です。