全部を同時にやろうとすると、順番が見えなくなる

起業の準備には、業種によって必要なものと不要なものがあります。

店舗が必要な人もいれば、自宅とパソコンだけで始められる人もいます。営業に許可が必要な仕事もあれば、特別な許可が不要な仕事もあります。最初から法人にする人もいれば、個人で始める人もいます。

だから「起業する人が必ず最初にやる10個」を覚えるより、前の判断によって、次に必要な準備を決める方が分かりやすいです。

開業準備は「5段階」で見る

起業・開業の全体地図

01

商売

誰に、何を、いくらで売るか

02

生活

売上が安定するまで暮らせるか

03

お金

始める・続ける資金は足りるか

04

手続き

自分の条件に必要な届出・許可は何か

05

取引の準備

実際に売り、契約し、入金・記録できるか

この順番は「前の段階が100点にならないと次へ行けない」という意味ではありません。

仮でもよいので前提を決めると、次の準備を具体的に選べる、という順番です。

架空例|一人サロンなら5段階はこうつながる

これは架空の例です。

商売:近隣の20〜40代へ、完全予約制の施術を平均8,000円で提供する。

生活:退職後6か月を仮置きし、生活費18万円/月と保険・年金・住民税などを確認する。

お金:開業に150万円必要。自分のお金50万円+創業融資100万円で用意する。

手続き:自分の業種・事業形態に必要な届出や許可を確認する。

取引の準備:SNSや店舗情報から料金・施術例を見て、予約フォームへ進める状態を作る。

自分の業種で読み替える
  • サロン型:商売=誰に・どんな施術を・いくらで/生活=売上が安定するまでの生活費/お金=物件・設備・材料・当面の運転資金/手続き=必要な届出・許可/取引=予約・支払い・売上記録、と置き換えます。
  • 仕入れなしのサービス型:商売=誰に・どんなサービスを・いくらで/生活=売上が安定するまでの生活費/お金=パソコン・ソフト・広告等/手続き=必要な届出/取引=問い合わせ・契約・請求・入金・記録、と置き換えます。
  • 仕入れあり型:商売=誰に・何を・いくらで売るか/生活=売上が安定するまでの生活費/お金=設備・最初の仕入れ・追加仕入れ等/手続き=必要な届出・許可/取引=販売・決済・仕入れ・在庫・記録、と置き換えます。

1|商売を仮置きする

最初は、誰に・何を・いくらで売るのかを仮置きします。

ここが空白だと、HPが必要か、店舗が必要か、どんな契約が必要か、どれくらいお金がかかるかも決めにくくなります。

1

「誰に・何を・いくらで」を仮で書く

完成していなくて大丈夫です。仮の答えを書いてみると、集客、値段、必要客数など次の疑問が出てきます。

ここで「どうやって知ってもらう?」となったら → 集客・売上へ。

2|生活が持つかを見る

次に、売上が安定するまで生活を続けられるかを見ます。

会社員から独立する人は、給与が止まった後も生活費が続き、健康保険・年金・住民税等の扱いを自分で確認する場面が増えます。

2

生活側の毎月のお金と期間を見る

「月いくら必要か」「何か月分を見ておきたいか」を書くと、退職時期や開業規模の判断材料になります。

詳しくは STEP02「会社を辞める前に、何をしておく?」で整理しています。

3|始めるお金・続けるお金を見る

事業側では、最初に買うものだけでなく、売上が安定するまで事業を回すお金も見ます。

設備、備品、内装、仕入れなどの「始めるお金」。家賃、仕入れ、広告、外注、システム利用料などの「続けるお金」。この二つを分けます。

3

自分のお金で足りるか確認する

足りなければ、借りる、規模を小さくする、開始時期を変えるなど、条件を変える材料になります。

ここで資金不足が見えたら → 融資・資金調達へ。

4|必要な手続きを確認する

商売・生活・お金の形が見えてきたら、そこで初めて自分に必要な手続きを洗い出します。

たとえば、個人で始めるのか法人にするのか、営業に許可や資格が必要か、税務や社会保険でどんな届出が必要か。

ここは業種・事業形態・人を雇うか等で変わるため、全員が同じ手続きをするわけではありません。

「必要な手続き自体が分からない」なら、手続き名を先に覚えなくて大丈夫です。

まず、①個人で始めるか法人にするか、②人を雇うか、③自分の業種に許可・資格が必要そうか、④どの自治体で始めるか、の4つだけ書きます。その条件を持って、税務は国税庁・税務署、法人の登記は法務局、社会保険は年金事務所、自治体の届出や業種ごとの許可は自治体・所管官庁、という順で必要なものを確認します。

この記事では、業種ごとの申請方法まで全部は扱いません。まず「自分はどこへ確認すればいいか」が分かれば、次へ進めます。

制度の具体的な条件・期限は変わることがあります。実際に手続きをする段階では、国税庁、法務局、年金事務所、自治体、業種ごとの所管官庁などの最新公式情報を確認します。

5|お客さんと取引できる準備をする

最後は、「実際にお客さんと取引できる状態」を作ります。

ここで必要になるものは、商売によって違います。

お金を受け取る

口座・決済

振込、カード決済、現金など、どう受け取るかを決める。

約束を合わせる

契約・利用条件

何を、どこまで、いくらで提供するのか、双方で確認できるようにする。

数字を残す

会計・記録

売上・支出・残高を後から追える形にする。

知ってもらう・確認してもらう

HP・SNS等

初めて知った人が「何をしている人か」「どう申し込むか」を確認できる場所を作る。

HPも「起業したら必ず立派なサイトを作る」という話ではありません。必要なのは、自分の商売でお客さんが何を確認する場所を必要としているかです。

ここから別テーマへ乗り換える

このSTEP03は、起業準備の全体を見渡して、「今の自分はどこで止まっているか」を見つけるための地図です。

今どこで止まっているかによって、次に読むテーマが変わります。

資金が足りない

融資・資金調達

何を見られるのか、何を準備するのか、どこへ相談するのかから確認する。

お客さんが来るか不安

集客・売上

まず何から始めるかを決め、始めた後はどこで止まっているか、売上のどこを動かすかへ進む。

お金の状態を見たい

会計・お金

売上・利益・実際のお金を分け、通帳残高や必要売上を自分の数字で確認する。

全部読む必要はありません。自分の困りごとに合う路線だけ使えば十分です。

今の自分は、どこまで進んでいる?

最後に、5段階へ「できている/途中/まだ」を付けてみます。

開業準備の5段階チェック

  • 商売:誰に・何を・いくらで売るか、仮でも言える。
  • 生活:売上が安定するまで生活が持つか、確認する必要があると分かっている。
  • お金:始めるお金と続けるお金を分けて考えている。
  • 手続き:自分の業種・事業形態で必要な届出や許可を確認している。
  • 取引の準備:お客さんが知る・申し込む・契約する・支払う・自分が記録する流れを確認している。
まず5分だけ

STEP01・02で書いた紙があれば、その同じ紙に5項目を足します。 ここでも新しい宿題を増やしません。

5項目に「できている/途中/まだ」を付ける

今日は全部を進めなくて大丈夫です。「まだ」が一番上にある場所を一つ選びます。

そこが次に調べる場所です。何からやるか決まった時点で、開業準備の順番はかなり見えています。

まとめ|開業準備は、全部を同時にやらない

迷ったら、この5段階へ戻ります。

01

商売

誰に、何を、いくらで売るかを仮置きする。

02

生活

売上が安定するまで、生活が持つ条件を見る。

03

お金

始める・続ける資金が足りるかを見る。

04

手続き

自分の条件に必要な届出・許可だけ確認する。

05

取引の準備

知る→申込→契約→支払→記録まで、商売が回る形を作る。

起業は、手続きの数をこなすことが目的ではありません。自分の商売と生活が続く条件を確認し、その条件に必要な準備だけを順番に進めます。

ここから先は、自分の困りごとに合わせて

必要なテーマへ進む

シリーズはここで一区切りです。自分で進められるなら、そのままで大丈夫です。

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