公庫の公式案内でも、面談は「計画の確認」と書かれている
日本政策金融公庫(この記事では「公庫」と書きます)は、創業予定者との面談で、資金の使いみちや事業計画について話を聞き、事業計画に関する資料や資産・借入が分かる資料を確認すると案内しています。
これは私が最初に公庫へ単独申請した時の実体験です。支店・担当者・案件によって進み方は変わります。
時間に合わせて公庫へ行き、受付する
受付の機械から受付用紙を取り、椅子に座って待ちました。呼ばれたら受付で融資面談の用件を伝え、担当者が来るのを待ちます。
担当者に面談場所へ案内される
私の時は、4〜5畳くらいの小さな面談スペースでした。テーブルと椅子が2つあり、周りには公庫のパンフレットが置かれていました。
あいさつをして、PCと事業計画書を出す
名刺はまだ制作途中だったので、私はあいさつだけ。持参したPCと、印刷した別紙の事業計画書をテーブルに出して準備しました。
創業計画書を見ながら、順番に確認される
私の場合は、創業計画書の左上から左下へ進み、その後に右上から右下へ、という順番でした。担当者も資料を手元で見たり書き込んだりしながら質問していました。
資料を見ながら答えても大丈夫だった
売上の大きな数字は覚えて行きましたが、経費を一つずつ暗記してはいません。細かい金額は、渡していた事業計画書を一緒に見ながら「ここです」と説明しました。資料を見ながら答えることに、特に問題がある雰囲気ではありませんでした。
必要な質問の後は、普通の会話にも広がる
ずっと質問を浴びせられる感じではなく、確認したいことは聞かれ、その回答から話が広がる普通の会話に近い進み方でした。全体では、およそ1時間でした。
最後は「進捗を後で連絡します」で終了
その場で可否が決まるのではなく、審査の進捗も含め後で連絡すると言われて面談は終了し、そのまま帰宅しました。
少なくとも今回の担当者には、公認会計士や監査法人の仕事が十分には伝わっていない様子だったため、そこを説明する時間がかなり長くなりました。私はこの経験から、資格名や職歴を書くだけでなく、相手が知らない前提で「どんな仕事をしてきた人なのか」まで伝える必要があると感じました。
面談当日の感触は良く、私は「問題なく進みそうだ」と感じていました。ただ、その後の連絡で審査上の論点が一気に出て、最終的には融資不可になりました。面談の手応えだけでは、結果は分からないというのも実体験として残った点です。
こうして見ると、面談は担当者と資料を一緒に見ながら、計画の中身と本人のことを確認していく会話に近いものでした。次から、実際に聞かれた内容を7つに分けます。
私の場合、実際にはこんなことを聞かれた・確認された
ここは一般的な「必ず聞かれる質問集」ではありません。私自身の公庫・信用金庫への融資相談で、実際に確認された内容です。
一つひとつは別の質問に見えますが、最終的には「この計画は本当に実行できて、借りた後も返していけそうか」を違う角度から見ています。
質問1|「なぜ、この事業をやるのですか?」
創業の動機を聞かれた時、「昔から夢でした」だけでは、事業が続く理由までは分かりません。
私の場合は、専門職として別の働き方もある中で、なぜ小規模事業者向けの事業を選ぶのかまで聞かれました。
どんな仕事・経験をしてきたか
その経験の中で何を感じたか
その課題に対して何を提供するのか
立派な理念を作るより、自分の過去と、これから始める商売が一本につながっている方が説明しやすくなります。
質問2|「それで、何をするのですか?」
自分では事業内容を分かっているつもりでも、専門用語や商品名だけでは相手に伝わりません。
たとえば「SNS運用支援」「美容サロン」「経営支援」だけでは、実際に誰がお金を払うのかが見えません。
第7回の創業計画書③「取扱商品・サービス」を、自分の言葉で30秒くらいで説明できるか確認しておくとかなり楽です。
質問3|「その売上は、どうやって作るのですか?」
信用金庫では、私の売上がどのような流れで生まれるのかを確認されました。初回の公庫審査でも、顧客売上を継続して積み上げられるかが論点になりました。
「SNSで集客します」だけで終わらず、SNSで何を見せ、どこへ案内し、そのうち何件が予約・購入になる想定なのかまで行くと、売上の説明になります。
質問4|「そのお金は、何に使うのですか?」
信用金庫では、資金の使いみちを一つずつ見ながら、内容・金額・見積書・支払時期などを確認しました。
設備、備品、仕入れなど
見積書や料金表で確認
すでに払ったのか、これからなのか
事業を始める・続けるうえで何に使うか
用途が決まっていない「念のための予備費」は、金融機関側も説明しにくくなります。必要なものから積み上げて借入額を出す理由はここにあります。
質問5|「今のお金や、今ある借入はどうなっていますか?」
私の公庫申請では、預金残高だけでなく、通帳上のお金の増減や、住宅ローン・生活費を含む返済負担も判断材料になりました。
今ある借入も含めて、今の負担に新しい返済を足しても回るかを説明できるようにしておきます。
質問6|「もし、計画どおり売れなかったら?」
事業計画は未来の仮説なので、予定どおりにいかないことはあります。
そこで、売上が下振れした時の手も用意しておきます。
- 売上が少ない時に、一緒に減らせる経費はあるか
- 後回しにできる支出はあるか
- 商品・営業時間・集客方法をどう直すか
- 必要なら、別の現実的な収入源を確保できるか
私自身も、売上未達時にどの費用を抑えるか、別の仕事で収入を補う選択肢があるかまで確認して説明しました。
質問7|「本当に、その事業を始められる状態ですか?」
業種によっては、物件、設備、許認可、契約、仕入先、人員などがなければ事業を始められません。
私の場合も、講習会をどこで行うのか、事務所の状態、HPやサービスの内容などを確認されました。
融資支援の面談練習でも、飲食店なら「物件は本当に確保できるのか」「契約の書面はあるか」「満席になった時に人員は足りるか」まで確認するようにしています。
見積書、契約書、物件資料、許認可、HP、写真などは、事業が現実に進んでいることを補う材料になります。
その場で分からない質問が来たら、どうする?
面談で一番避けたいのは、分からないのにその場で数字を作ってしまうことです。
確認していない数字をその場で作る。
分かる範囲と、確認が必要な範囲を分ける。
私の融資でも、面談の後に追加資料を求められ、信用金庫を通じて保証協会へ資料を追加した場面がありました。
全部をその場で答えることより、事実と推測を混ぜないことの方が大切です。
答え方は、「事実 → 理由 → 根拠 → もし外れたら」の順で十分
質問ごとに模範解答を丸暗記しなくても、次の4つで考えると答えやすくなります。
事実
今、決まっていること・実績。
理由
なぜ、その計画にしたのか。
根拠
数字・見積・契約・過去実績など。
下振れ時
計画と違った時、何を変えるか。
第7回の「事実・仮説・裏付け」に、「外れたらどう直すか」を一つ足した形です。
架空例|一人サロンなら、面談はこうつながる
前の記事「創業計画書って、実際どう書けばいい?」で使った一人サロンの架空例を、そのまま面談に当てはめます。
サロンで6年間、施術・予約管理・顧客対応を経験しました。担当者が変わらず予約時間を確保したサービスを求めるお客さまがいたため、一人で予約制サロンを始めます。
創業当初は平均単価8,000円、1日2人、月20日の営業で月32万円と見込んでいます。既存接点・紹介・SNSから予約フォームへつなぎます。
必要資金150万円を、物件初期費用・内装・設備・材料・開業後の家賃・仕入れなど、事業を回すためのお金(運転資金)に分けています。自分で50万円用意し、残り100万円を借入で補う計画です。
広告費や仕入れを売上に合わせて調整し、予約枠・メニュー・集客経路を見直します。売上がなくても毎月かかるお金(固定費)を増やしすぎない形で始めます。
これを一字一句覚える必要はありません。自分の計画書に書いた数字の理由を、自分の言葉で話せればいいという見本です。
自分の業種で読み替える
- サロン型:独立する理由、単価×客数の売上、物件・内装・設備などの必要資金、売上が少なかった時の見直しを自分の内容へ置き換えます。
- 仕入れなしのサービス型:これまでの経験、単価×案件数、パソコン・ソフト・広告などの必要資金、案件が少ない時の見直しを自分の内容へ置き換えます。
- 仕入れあり型:商品・仕入れの経験、単価×販売数、設備・仕入れ・在庫などの必要資金、売れ行きが弱い時の仕入れ調整を自分の内容へ置き換えます。
架空サロンの回答を覚える必要はありません。面談で聞かれそうな4つの話を、自分の事業・自分の数字へ置き換えます。
面談前に、全部暗記するよりこの5枚を見直す
何を・なぜ・いくらで。
何にいくら必要か。
単価・件数・入口。
預金・借入・毎月の返済。
売れなかった時どうするか。
私が面談時に用意していた資料の例を見る
- 創業計画書・別紙事業計画書
- 月別の売上・経費・入出金と残高の見通しを見る資料(資金繰り資料)
- 資金使途と見積書
- 売上根拠を説明する資料
- 契約・入金実績などの裏付け
- 預金・証券・既存借入の資料
- 必要に応じて、職歴・資格・別収入の根拠資料
これは私の場合の例です。金融機関・制度・申込者の状況によって、必要な資料は変わります。
まず5分だけやるなら
創業計画書を見ながら、3つだけ声に出す
①何をする事業か、②なぜその売上になるのか、③何にお金を使うのか、を資料を見ながら話します。
途中で止まった場所が面談前の確認点です。目的は、自分の事業を自分の言葉で説明できるか確かめることです。
まとめ|面談は、「計画書を自分の言葉で説明できるか」の確認
模範解答を暗記する必要はない
金融機関は、計画に書いた事業・数字・お金の使いみちが現実につながっているかを会話で確認します。
事業
なぜ自分が、何を誰に売るのか。
売上
どこから人が来て、何件売るのか。
資金
何にいくら必要なのか。
返済
計画が外れても、どう続けるのか。
答えに詰まったところが、申込前・面談前にもう一度確認したい場所です。
この記事で確認した公式情報
公式情報・確認先を見る
- 日本政策金融公庫|創業予定の方・お手続きの流れ
- 日本政策金融公庫|小規模事業者/個人事業主の方・ご利用の流れ
- 日本政策金融公庫|創業支援・融資のご相談/お申込手続き
- 日本政策金融公庫|創業計画書セルフチェック
面談の質問・確認方法は、金融機関、担当者、制度、業種、事業計画によって変わります。この記事の「実際に聞かれたこと」は私自身の個別経験であり、必須質問一覧ではありません。
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