まず全体像|相談から入金までは、この順番で考える

細かい順番は相談先や制度で変わりますが、初心者が自分の現在地を確認する地図としては、次の流れで考えると分かりやすいです。

01
開業時期を考えるいつ事業を始め、いつお金が必要か
↓
02
必要なものと金額を出す設備・家賃・仕入れ・広告など
↓
03
見積を取る特に融資対象にしたい設備は、先に買う前に確認
↓
04
融資・創業相談をする計画を全部完成させる前でも相談できる
↓
05
売上・経費・返済を作る自己資金と借入額もここでつなぐ
↓
06
創業計画書を仕上げる事実・仮説・裏付けを一枚にまとめる
↓
07
申込必要書類を提出
↓
08
面談計画書と資料を見ながら内容を確認
↓
09
追加資料・現地や事業の状態を確かめる確認(実態確認)必要な場合だけ追加で確認される
↓
10
審査結果希望どおりにならない場合もある
↓
11
契約手続借入の契約書(借用証書)・電子契約など
↓
12
口座へ入金ここから事業で使うお金になる

まず見るのは申込日より、お金が必要になる日です。そこから逆算して動く時期を決めます。

では、いつ相談すればいい?

私なら、開業時期と「何にお金が必要か」がぼんやり見えた段階で、一度相談を入れます。

まだ早くない 開業予定の時期が見えてきた
まだ早くない 大きな支出を3つくらい言える
まだ早くない 自己資金が今いくらあるか分かる

この段階で、売上予測や創業計画書が完成していなくても構いません。日本政策金融公庫も、創業予定者向けに申込前の相談を案内しています。

相談できる材料ができたら、一度聞く

相談した結果、必要書類・制度・借入の組み方が変わることがあります。先に全部を完成させるより、早い段階で方向を確認した方が作り直しを減らせます。

見積書はいつ取る? 設備はいつ買う?

パソコン・機械・内装など設備を買うためのお金(設備資金)を申し込む場合、公庫の現行案内では見積書が必要書類に入っています。

つまり、融資で買いたい設備は、まず見積を取って資金計画へ入れるのが基本です。

先に 見積を取る
→
次に 融資対象に入るか確認
→
その後 購入時期を決める

今回、私が使った信用保証協会が返済を保証する形の融資(信用保証協会付き融資)では、すでに支払っていた備品は融資額に含めない扱いでした。また、設備資金として借りたものは、後から領収書や購入記録などで実際に購入したことを確認する扱いでした。

「あとで融資に入れればいい」と思って、先に買わない

制度や金融機関で扱いは変わります。融資対象にしたい設備・備品は、支払う前に相談先へ確認しておく方が安全です。

相談したら、申込前に数字と計画を固める

相談先と大きな方向が見えたら、申込の前に、第1〜7回で考えてきたことを一つにつなぎます。

STEP05借入額

必要な額と返せる額をつなぐ。

STEP06売上予測

単価×件数と、その根拠を作る。

STEP07創業計画書

ここまで考えた内容を申込書類へ書く。

この順番は「必ず記事番号どおり作業する」という意味ではありません。実務では、見積が変われば借入額も変わり、売上予測を直せば返済の見え方も変わります。行ったり来たりしながら固めていきます。

申込|ここで初めて「審査してもらう」段階に入る

公庫ではインターネット申込が利用でき、創業前の人は創業計画書、設備資金なら見積書などを用意して申し込みます。

ただし、申込時に出した書類だけで全部終わるとは限りません。

申込時基本の申込・計画・見積
面談時事業・資金・資産などの確認資料
審査途中必要なら追加資料

私の場合も、最初に用意した資料だけでなく、面談後や信用保証協会の確認で資料が追加されました。

面談|申込内容を、資料と会話で確認する

申込後は面談へ進みます。第8回で詳しく見たとおり、私の公庫面談はおよそ1時間。創業計画書と別紙事業計画書を一緒に見ながら進みました。

計画書を見る → 質問される → 資料で確認する → 回答から会話が広がる

全部を暗記して答える試験ではありません。大切なのは、自分の数字・事業・前提を理解していて、必要なら資料の場所を示せることです。

面談のあと|追加資料や実態確認が入ることもある

面談が終わったら、その場で必ず結果が出るわけではありません。

金融機関側で審査し、必要なら追加資料や事業所の確認などが入ります。公庫公式でも、店舗や事務所を訪ねる場合があると案内しています。

そのまま審査追加確認なしで進む場合
追加資料預金・借入・契約・資格等を補う場合
実態確認店舗・事務所等を確認する場合
私が実際に進める時に意識したこと 書類を出した後も、確認や追加対応が続きました

今回の融資では、面談後も追加確認や資料提出が何度も入りました。私は、次の4つを意識して動いていました。

01

入金が必要な日から、スケジュールを逆算する

家賃・設備・仕入れなど、実際の支払日を起点にしました。そこから、相談・申込・面談・審査・契約に使える時間を逆算します。

02

追加資料を求められたら、できるだけ早く出す

融資の途中では、最初に出した書類だけで終わらず、追加資料を求められることがあります。私は、依頼が来たら後回しにせず、用意できるものから早めに提出するようにしていました。

03

金融機関から言われたことは、すぐ動く

私は、対応の速さも「本当に借りる意思があるのか」「必要なことにきちんと動ける人なのか」という印象につながると考えていました。そのため、追加説明・資料・手続など、依頼されたことはできるだけ早く対応しました。

04

追加資料のやり取りは、何回か続く前提で考える

一度資料を出したら終わり、とは限りません。今回も確認が進むたびに追加資料が出ました。最初から「何度かやり取りがある」と考えておくと、仕事や開業準備の予定も組みやすくなります。

※これは今回の私自身の進め方と所感です。金融機関が「提出が遅い人は審査で不利」と公式に示している、という意味ではありません。ただ、融資を受けたい側として、必要な確認へ迅速に対応することは意識していました。

私の信用金庫ルートでは、信用保証協会側から給与、源泉徴収、開業届、資格変更の進捗、借入残高、不動産登記などの追加資料が出ました。

申込から入金まで、何日かかる?

ここは、固定の日数を覚えない方がいいです。

変わる理由1相談先が違う

公庫、信用金庫、銀行などで流れが違う。

変わる理由2制度が違う

保証協会や自治体制度が入ると確認先が増えることがある。

変わる理由3追加資料が違う

不足資料や個別論点があると往復が増える。

変わる理由4物件・許認可・設備が違う

事業開始条件の確認に時間が必要なことがある。

私の場合|信用金庫ルート 具体的な融資手続が動き始めてから、着金まで約1か月

本申請の準備に入ってから数えると約3週間でした。契約手続の翌営業日に、実際に口座へお金が入りました。

最初に単独で申し込んだ公庫では、面談後1週間かからない程度で状況連絡があり、その後1週間以内に最終結果の連絡がありました。一方、信用金庫ルートは複数回の面談、保証協会との確認、追加資料、口座・出資・契約手続まであり、段階が多くなりました。

この約1か月・約3週間という期間は、私の今回の実体験です。標準処理期間ではありません。開業日や支払日が決まっているなら、相談時に「この日までに資金が必要」と伝え、現在の見込み期間を確認するのが確実です。

審査結果が出たら、契約してから入金

公庫の現行案内では、融資決定後に契約に必要な手続を行い、契約手続の完了後に、指定した金融機関口座へ融資金が送金されます。

審査融資決定
→
契約必要手続を完了
→
入金銀行口座へ送金

「承認の連絡が来た日=すぐ使える日」ではない、ということです。契約や口座手続まで含めて、資金が必要な日から逆算します。

私の場合|実際のタイムラインは、こんな感じでした

私自身は、最初に公庫へ単独申請して0円回答となり、その後、信用金庫へ相談先を切り替えました。

ここでは案件を特定できるような細かい日付は出さず、信用金庫ルートで具体的に動き始めてから着金するまでの時間感覚だけを並べます。

時間感覚スタートから着金まで、約1か月本申請準備から数えると約3週間
その前公庫へ単独申請 → 0円回答

最初のルートはいったんここで終了。信用金庫へ相談先を切り替えました。

スタート信用金庫で再面談。協調融資で進める方向が具体化

資金使途や事業計画を見直し、信用金庫300万円を軸に手続を進める形になりました。

約1週間後本申請準備・信用保証協会の確認へ

必要資料をそろえ、信用金庫を窓口に追加確認・追加資料へ対応しました。

途中|お盆時期信用金庫の手続は、そのまま進みました

私の場合、お盆時期でも信用金庫は通常どおり業務していて、融資手続も進みました。「お盆だから何週間も止まる」と最初から決めつける必要はありませんでした。

その後商工会議所で公庫へ再相談。協調融資として再申請

信用金庫側の手続と並行しながら、公庫にも再度相談・申請しました。

約3週間後信用金庫の口座作成・出資・契約準備

融資承認後も、口座作成や出資、必要書類の準備などの事務手続が続きました。

約1か月後信用金庫で契約 → 翌営業日に着金

契約書等へ記載・捺印し、その翌営業日に実際に口座へお金が入りました。

お盆・連休を挟む時も、最初から「全部止まる」とは決めない

今回の信用金庫ではお盆時期も手続が進みました。ただし、土日祝、支店や担当者の勤務、信用保証協会・商工会議所・公庫など関係機関の営業日は別です。必要な日が決まっているなら、担当先へ具体的な予定を確認するのが確実です。

この経験からも、創業融資は「一つの申込フォームを出したら、あとは待つだけ」ではないと分かります。相談しながら、計画・資料・ルートが変わることがあります。

自分の場合は、「お金が必要な日」から逆算する

架空例|一人サロンの150万円を、支払日ごとに分けてみる

これは架空の例です。必要資金150万円の中には、物件の初期費用20万円、内装50万円、設備・備品25万円、開業時の材料10万円、開業後しばらくの家賃・広告・消耗品45万円があります。

物件契約・内装・設備・材料をそれぞれいつ払うのかを書き出し、その前に融資実行が必要なものを分けます。

自分の業種で読み替える
  • サロン型:物件契約・内装・設備・最初の材料を、いつ支払うかへ置き換えます。
  • 仕入れなしのサービス型:パソコン・ソフト・広告・外注等を、いつ契約・支払いするかへ置き換えます。
  • 仕入れあり型:店舗・設備・最初の仕入れ・追加仕入れを、いつ支払うかへ置き換えます。

開業日だけを見るのではなく、最初に大きなお金が出ていく日の前に融資が間に合うかを見ます。

たとえば、店舗を借りる、設備代を払う、最初の仕入れをするなど、事業では開業日より前にお金が必要になることがあります。

まず書くお金が必要な日
←
その前契約・入金
←
その前審査
←
その前申込・面談
←
その前相談・計画・見積

この逆算をすると、「この支払日までに融資実行が必要だから、今相談する」という判断ができます。

第1〜9回は、実際にはこの場所で使う

第10回は、9本で考えたことを、現実の行動へ変換するための地図です。

まず5分だけやるなら

まず5分だけ

カレンダーに「お金が必要な日」を1日だけ書く

開業日ではなく、家賃・設備・仕入れなど、最初にまとまったお金が必要になる日を書きます。

日付が分からなければ「要確認」で大丈夫です。そこから相談・申込・面談・審査・契約を逆算します。

まとめ|融資は、「必要な日」から逆算して動く

最終回の結論

支払日から逆算して申込時期を決める

必要資金 → 見積 → 相談 → 計画 → 申込 → 面談 → 追加確認 → 審査 → 契約 → 入金、という順番で考えます。

01

早めに相談

全部完成してからでなくていい。

02

買う前に確認

融資対象にしたい設備は先払いに注意。

03

日数を決め打ちしない

ルート・制度・追加資料で変わる。

04

入金までが準備

承認後にも契約手続がある。

ここまでで、融資について「何を見られるか」から、「自分で書く・話す・見直す・実際に動く」まで一通りつながりました。

この記事で確認した公式情報

公式情報・確認先を見る

公庫公式では、設備資金申込時の見積書、面談での事業計画・資産・借入等の確認、融資決定後の契約手続、契約完了後の口座送金が案内されています。審査期間は案件ごとに異なるため、この記事では固定日数を一般化していません。

ここから先は、必要な方だけ

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シリーズはここで一区切りです。自分で進められるなら、そのままで大丈夫です。

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融資シリーズ 第1章 完

「分からない」から、「自分で動ける」まで

融資の知識は、実際に使えて初めて意味があります。自分の必要額を出し、数字の根拠を作り、計画書を書き、面談で説明し、結果が悪ければ見直し、必要な日から逆算して動けること。ここまでできれば、少なくとも「何も分からないまま申込む」状態からは卒業できます。